働はたらき続つづけるために

• 相談相手そうだんあいてを把握はあくする
• 自分じぶんの特性とくせいや配慮はいりょしてほしい点てんなどを伝つたえる
• 道具どうぐやちょっとした工夫くふうで苦手にがてさを補おぎなえることも
• 休やすみ時間じかんや休やすみの日ひにはしっかりリフレッシュりふれっしゅし、こころもからだも良好りょうこうな状態じょうたいに保たもつ

就職直後しゅうしょくちょくごは職場しょくばの上司じょうしや同僚どうりょうなどとの新あたらしい人間関係にんげんかんけいづくりや、まずは自分じぶんの仕事しごとを覚おぼえなければならなかったり、採用さいようにともなう諸手続しょてつづきを決きめられた期間内きかんでこなさなければならなかったりと、これまで以上いじょうに忙いそがしく変化へんかが多おおい時期じきになります。職場適応援助者しょくばてきおうえんじょしゃ（ジョブコーチじょぶこーち）の技法ぎほうに「ナチュラルサポートなちゅらるさぽーと」ということばがあります。働はたらく障害しょうがいのある方かたを無理むりのない範囲はんいで職場内しょくばないのさまざまな方かたがサポートさぽーとする体制たいせいを築きずくことを意味いみします。ジョブコーチじょぶこーちが支援しえんで留意りゅういするポイントぽいんとをいくつかご紹介しょうかいします。

仕事しごとは毎日まいにちの積つみ重かさねが大切たいせつです。また、限かぎられた時間じかんの中なかで求もとめられた業務ぎょうむを遂行すいこうすることを求もとめられます。一ひとつのわからないことや難むずかしい作業さぎょうにつまずき、その後ごの仕事しごとが手てにつかないよりも、わからないことは教おそわり、時ときには人ひとの手てを借かりてでも最後さいごまで仕事しごとをやり遂とげること、経験けいけんの積つみ重かさねで業務遂行能力ぎょうむすいこうのうりょくは身みにつきます。「みんな忙いそがしそうで、どう聞きいたらよいかわからない」、「何なんて言いえばよいのだろう」などと戸惑とまどうかもしれません。また、思おもい込こみや誤あやまった理解りかいのまま業務ぎょうむを進すすめてしまうこともあるかもしれません。できれば、職場内しょくばないでキーパーソンきーぱーそんや相談内容そうだんないようごとの相談役そうだんやくを定さだめ、役割やくわりや関かかわる上うえでのルールるーるを決きめてもらうよう上司じょうしと相談そうだんしておくことをおすすめします。

発達障害はったつしょうがいの特性とくせいとひと言ことでいってもさまざまです。たとえば、「文字もじどおりの解釈かいしゃくや思おもったままの内容ないようを口くちにしてしまう」、「相手あいての話はなしを遮さえぎって発言はつげんすることがある」、「過度かどに集中しゅうちゅうしてしまい周囲しゅういのことに目めが行いきにくくなる」、「休憩中きゅうけいちゅうは一人ひとりで静しずかな場所ばしょで過すごしたい」、「蛍光灯けいこうとうの音おとや点滅てんめつが苦手にがて」など、内容ないようや程度ていどは一人ひとりひとり異ことなります。自分じぶんの特性とくせいや周囲しゅういに手伝てつだってほしいこと、配慮はいりょしてほしいことなどをできるだけ具体的ぐたいてきに整理せいりし、職場しょくばの方かたにあらかじめ伝つたえておくことが大切たいせつです。職場しょくばの中なかで「いつ」「誰だれに」「どのように」伝つたえるか、そして正ただしく理解りかいしてもらうのはとても難むずかしいことです。まずは上司じょうしの方かたに相談そうだんし、判断はんだんを仰あおぎましょう。医療機関いりょうきかんやジョブコーチじょぶこーちなどの信頼しんらいできる専門家せんもんかに協力きょうりょくを依頼いらいすることも必要ひつようかもしれません。

スマートフォンすまーとふぉんのカレンダーアプリかれんだーあぷりのリマインダー機能りまいんだーきのうを活用かつようすることで、苦手にがてな部分ぶぶんを補おぎなえる場合ばあいがあります。また、聴覚過敏ちょうかくかびんの場合ばあいは、ノイズキャンセラーヘッドフォンのいずきゃんせらーへっどふぉんの活用かつようなどで、ある程度ていど不快感ふかいかんが軽減けいげんされることもあります。これまでの日常生活にちじょうせいかつでつちかってきた苦手にがてさ、困難こんなんささの軽減けいげんのための工夫くふうは仕事しごとでもいきてきます。しかし、自前じまえの道具どうぐの持もち込こみが禁止きんしされていたり、SNSの利用りようには特定とくていのルールるーるがあったりなど、職場しょくばにはそれぞれ決きまりがあります。苦手にがてさを軽減けいげんするために職場しょくばでできる工夫くふうを見出みいだしていくことが大切たいせつですが、道具どうぐの使用しようや仕事上しごとじょうの工夫くふうについては、職場しょくばの上司じょうしに目的もくてきや内容ないようをあらかじめ相談そうだんし、理解りかいを得えておく必要ひつようがあります。

自閉スペクトラム症じへいすぺくとらむしょうやADHDなどの発達障害はったつしょうがいのある方かたには、過度かどに集中しゅうちゅうして行動こうどうがコントロールこんとろーるできなくなる特性とくせいがみられる場合ばあいがあります。また、周囲しゅういの音おとや匂におい、味覚みかく、触覚しょっかくなど外部がいぶからの刺激しげきが過剰かじょうに感かんじられ、激はげしい苦痛くつうをともなって不快ふかいに感かんじられる感覚過敏かんかくかびんや、痛いたみや疲つかれ、発熱はつねつなどの体調不良たいちょうふりょうに気きづきにくい感覚鈍麻かんかくどんまなど、感覚かんかくに障害しょうがいのある方かたの場合ばあい、環境面かんきょうめんでの配慮はいりょと変化へんかをとらえる第三者だいさんしゃの目めが重要じゅうようになります。職場しょくばや家庭かていの協力きょうりょくに加くわえ、医療機関いりょうきかんの定期的ていきてきな受診じゅしんなど、自分自身じぶんじしんもこころとからだの健康けんこうに十分留意じゅうぶんりゅういすることが大切たいせつです。また、過剰かじょうなストレスすとれすは精神疾患せいしんしっかんの発症はっしょうなどにつながり、退職たいしょくをしてしまうケースけーすも少すくなくありません。勤務中きんむちゅうの休憩時間きゅうけいじかん、場所ばしょの確保かくほや休日きゅうじつの過すごし方かたの工夫くふう、必要ひつように応おうじて勤務時間きんむじかんの短縮たんしゅくや休職きゅうしょくの相談そうだんなど、働はたらき続つづけるためには上手じょうずに休やすむことも大切たいせつです。