合理的配慮と基礎的環境整備

障害のある子どもに対する支援については、法令に基づき、または財政措置により、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、市町村は各市町村内で、教育環境の整備をそれぞれ行う必要があります。これらは、合理的配慮の基礎となる環境整備であり、「基礎的環境整備」と呼ばれています。

合理的配慮は、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者や学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことで、障害のある子どもに対し、その状況に応じて学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」とされています。

 

学習障害(LD)のある子どもの合理的配慮

学習障害(LD)のある子どもの「学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮」として、社会適応に必要な技術や態度が身につくよう指導内容を工夫することが考えられます。また、「学習内容の変更・調整」として、心理面での不安定さから学習の積み上げが難しかったり、治療などにより学習の空白期間が生じたりする場合もあることから、学習内容の定着に配慮することなどが考えられます。なお、評価方法を工夫するなどして、一律な評価方法による不利益が生じないようにすることに配慮する必要があります。

 

 

注意欠如多動性障害(ADHD)のある子どもの合理的配慮

注意欠如多動性障害(ADHD)のある子どもの「学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮」として、行動を最後までやり遂げることが困難な場合には、途中で忘れないように工夫したり,別の方法で補ったりするなどの配慮をして指導を行うことが考えられます。また、「学習内容の変更・調整」として、注意の集中を持続することが苦手であることを考慮した学習内容の変更・調整を行うことなどが考えられます。

 

自閉症のある子どもの合理的配慮

自閉症のある子どもの「学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮」として、自閉症の特性である「適切な対人関係形成の困難さ」、「言語発達の遅れや一般的に用いられるときとは異なる意味での言葉の理解」、「手順や方法に関する独特のこだわり」などによって生じている、学習内容の習得の困難さを補完するための配慮が考えられます。また、「学習内容の変更・調整」として、自閉症の特性により、数量や言葉などの理解が部分的であったり、偏っていたりする場合の学習内容の変更・調整を行うことなどが考えられます。

 

 

学習障害(LD)のある子どもの指導・支援

学習障害は、障害そのものの社会的な認知が十分でなく、また、一部の能力の習得と使用のみに困難を示すものであるため、「単に学習が遅れている」あるいは「本人の努力不足によるもの」とみなされてしまったり、子ども自身が周囲に気づかれないようにカモフラージュしたりするなどの状況から、障害の存在が見逃されやすい状況があります。まずは、障害の特性に応じた指導や支援が必要であることを保護者や学校教育関係者が認識する必要があります。とくに、早期からの適切な対応が効果的である場合が多いことから、低学年といった早期の段階で学級担任がその特性を十分に理解し、適切な指導や必要な支援の意義を認識することが重要です。

 

教材・教具データベース

障害のある児童生徒が、将来の自立と社会参加に向け、その能力を最大限発揮するためには、多様な学びの場において、障害の特性や状態を踏まえた教材を活用し、適切な指導を行うことが必要です。また、障害のある児童生徒の教材については、十分な教育を受けられるようにするための合理的配慮の充実をはかる上でも、国や地方公共団体においては、基礎的環境整備の一環としての教材の確保および合理的配慮の一環としての教材の工夫が求められています。

注意欠如多動性障害(ADHD)のある子どもの指導・支援

注意欠如多動性障害は、障害そのものの社会的認知が十分でなく、また、注意欠如多動性障害のない子どもにおいても、不注意または衝動性・多動性の状態を示すことがあることから、注意欠如多動性障害のある子どもは、「故意に活動や課題に取り組もうとしない」「怠けている」あるいは「自分勝手な行動をしている」などとみなされてしまい、障害の存在が見逃されやすい状況があります。まずは、これらの行動が障害に起因しており、その特性に応じた指導および支援が必要であることを保護者や学校教育関係者が認識する必要があります。とくに、早期からの適切な対応が効果的である場合が多いことから、低学年の段階で学級担任がその特性を十分に理解し、適切な指導や必要な支援の意義を認識することが重要です。

自閉症のある子どもの指導・支援

自閉症のある子どもには、活動などをわかりやすくするための構造化が有効です。構造化することで、概念化や情報を整理・統合することに困難さがある自閉症のある子どもが、課題などのやるべきことや課題をどのように遂行すべきかを、理解しやすくなります。また、構造化によって、予測性のある活動の手順を示すことにより、見通しがもてないことで生じる不安を軽減することになります。そのため、自閉症のある子どもがストレスを感じにくくなり、学ぶべき事柄に集中することができます。

学習障害(LD)

学習障害(LD)とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、さまざまな困難に直面している状態です。

我が国で用いられている診断基準は一通りではありません。教育分野でのとらえ、福祉分野でのとらえをそれぞれご紹介します。

子どもの抱える困難さに応じた指導・支援

発達障害のある子どもたちは、目にみえる身体的な障害などがないため、本人はとても困っているのに、周囲の人からは理解されにくいという面があります。子どもたちの中には、「先の見通しがもてない状況」や「普段の生活と異なる状況」などに大きな不安を感じ、環境の変化に順応することがとても苦手な子どもたちがいます。また、「静かにしておくべきときにじっとしていられない」、「騒がしい場所では落ち着かない」、「些細なことに興奮してしまう」、「小さな音にも過敏に反応してしまう」といった困難さがある子どももいます。こうした困難さを理解し、その特性に応じたかかわりを工夫することが大切です。