連携の根拠となる計画
連携の根拠となる計画は、令和7年度から施行される「土岐市こども計画」(外部サイト:土岐市ホームページ)であり、計画の基本目標3に「配慮を必要とするこどもや家庭への支援」を掲げている。その中で、障害のあるこどもとその家庭に対して、保健、医療、福祉、教育等の関係機関との連携を強化し、早期療育への対応と切れ目のない支援に努めることや、相談体制の充実、連携強化、早期発見・早期対応等により、児童虐待の防止に取り組むことなどを明記している。
連携の契機
土岐市では、児童虐待等の社会課題の深刻化や対応件数の増加を受け、平成15、16年頃、当時社会福祉協議会に勤務していた教職経験のある家庭児童相談員を、当時のしあわせ援護課(現・こども家庭課)で任用し、こうした社会課題への対応に当たらせた。その業務は家庭児童相談、母子自立支援、女性相談、園運営への助言等多岐にわたり、内容に応じて教育委員会や学校との連携・調整役も担う。以降、当該ポストは教職経験者が、市内のこどもたちの実情に精通しているという実務経験を活かした相談業務や、元教員という立場を活かした小中学校等関係機関との連携強化に貢献している。現在は2名の教職経験者が従事している。これらの職員の身分は会計年度任用職員であり担当者の交代はあるものの、当該ポストは常設かつフルタイム勤務である。
1.教育支援センター「IKOT(いこっと)」の多面的な支援
(1)「いこっと」設立の経緯
教育支援センター(不登校支援の施設)の老朽化に伴い、その移転先を検討した結果、閉鎖する福祉施設を活用する形で「いこっと」を開設することとなった。
広い敷地を活用し、土岐市のこども支援で必要性が高い「不登校児支援機能」、「外国人児童生徒支援機能」「特別支援機能」(不登校児と特別支援対象児は5年間で約2倍増加)、「教育相談」の各機能を統合することとなった。開設に向け、検討委員会を招集した。メンバーは、横断的なこども支援を実施するため、教育長をはじめ、教育委員会職員、大学教員、こども家庭課長、東濃子ども相談センター職員など、教育・福祉に携わる関係者や有識者が委員となり検討を行った。
約2年間の準備期間を経て、市が費用を負担し、改修する形でこの施設が整備された。就学前から中学校卒業後まで、幅広い年齢層を対象に、多様なスタッフによる途切れない支援を目指している。
「いこっと」は「悩みや困り感を抱える子どもたちや保護者の課題を整理し、課題の解決を関係諸機関との連携により支援し、子どもたちの社会的自立をめざす機関」である。
図1 「いこっと」以前の取組(土岐市総合教育会議資料より)
(2)「いこっと」の概要と体制
教育支援センター「いこっと」は、不登校支援、教育(発達)相談、家庭児童相談、外国人児童生徒支援の4つの機能を備えている。どの課題に関することであっても、まずは相談をスクールソーシャルワーカー(以下SSWとする)が受け、これを関係機関の支援又は「いこっと」自らが行う支援に繋げている。「いこっと」に在籍しているSSWは1名である。
「いこっと」には、このほか、臨床心理士・公認心理師の資格を持つカウンセラー2名、元教員の教育相談アドバイザー2名、不登校支援コーディネーター1名、学習指導や生活支援を行う支援員1名、指導員3名、外国人児童生徒支援コーディネーター1名と外国人児童生徒指導員1名が配置されている。センター長は教育次長が兼任している。
図2 「いこっと」の人員配置(土岐市総合教育会議資料より)
(3)「いこっと」の機能
<不登校支援機能>
「いこっと」には令和7年7月時点で24人の児童生徒が登録されており、毎日平均10人程度の児童が通所している。無理なく通えるよう登校時間は厳密に規定していない。また、カウンセラーによるカウンセリングや心理療法も実施している。
<教育(発達)相談・検査機能>
発達障害に関する相談は、小中学校の児童生徒とその保護者を対象としており、知能検査も実施している。必要に応じ、教育相談アドバイザーが対象児の通う学校を訪問して指導の支援等を行っている。
なお、知能検査について、以前は実施できていなかったが、心理士雇用の予算を確保し、現在は、木曜日に5~6時間の枠を設け、検査や心理療法を実施している。昨年は60件以上の知能検査を実施した。
<家庭児童相談機能>
家庭におけるこどもの様子や子育てに関する様々な不安や悩みに相談対応している。こども家庭センターなど他機関の所掌に属する相談も多いことから、SSWが相談内容に応じて適切な窓口につなぐようにしている。「いこっと」への平均相談件数は、毎月約100件である。
家庭児童相談においては、多職種・多機関で協働して支援に当たることも重要であることから、こども家庭センター(こども家庭課)や市教委、福祉課、子育て支援業務を受託しているNPO法人が一同に会する定例会を月1回開いて連携強化に努めている。
<外国人児童生徒支援機能>
土岐市人口における外国人の割合は3.84%(令和6年総務省住民基本台帳より算出)と全国平均と比較しても高い割合にある。「いこっと」には多言語対応が可能なスタッフが1名在籍している。外国籍のこどもや保護者で日本語が難しい場合は、そのスタッフを介して相談を受けている。また、そのスタッフによる通訳が困難な場合については、別途通訳を手配している。
2.「いこっと」に在籍しているスクールソーシャルワーカー
「いこっとに」1名配置されているSSWの業務は多岐にわたっている。現担当は、小学校長や、教育委員会での勤務経験を有する者で、定年退職後にSSWに就任している。このSSWが虐待対応や家庭支援に加え、特別支援対象のこどもへの支援等を精力的に進め、関係機関等との連携も深めたことで、市の教育・福祉連携が飛躍的に進んだ経緯がある。
図3「いこっと」パンフレット(PDF:2.23MB、土岐市ホームページ)
<学校・園への巡回>
SSWはこども家庭課とともに、学校訪問を年3回行っている。毎回、市内の特別支援学級設置小中学校合わせて全14校を訪問している。この訪問により、特別支援教育を必要とする児童生徒のほか、虐待を受けた児童生徒など、特に支援が必要と認められる児童生徒に関する情報を集約し、これを市の関係部署で共有・管理している。中学卒業後の進路も把握している。
小中学校の訪問は、特別支援学級に在籍、通級による指導を現に利用している児童生徒と、学びの場の変更を申請している児童生徒が主たる対象となっている。SSWが申請時点で名簿を作成しており、対象となる児童生徒の実態を把握している。学年途中での学びの場の変更についてもその都度相談を受け、対応している。
SSWは、年2回、通級を設置している全ての小中学校(8校)を訪問し、通級を利用する児童生徒の様子の観察や、当該学級の担当教員との懇談等を通じて、通級を利用する児童生徒の情報を把握している。
また、SSWは、6月には約半月かけて市内の全ての幼稚園・認定こども園(以下、園)を訪問し、年長児のうち、こども家庭課と協議して必要と思われるこども及び保護者が希望するこども100人近くの情報を把握している。園は気になるこどもの保護者に声をかけ、希望の申し出を促している。
さらにSSWは、中学卒業後も視野に入れた支援にも力を入れており、地元の高校に声をかけて、中学生が、高校の先生や生徒と、直接話ができる「高校生入学相談会」を開催している。例えば、中学校時代に不登校を経験し、それを乗り越えてきた高校生が、当時の悩みや変わるきっかけについて話す機会を設けるなど、高校中退等の社会課題も踏まえ、様々な対応を図っている。
参考となる自治体資料・HP
担当部局:土岐市学校教育課・こども家庭課 <TEL:0572-54-1111>
掲載日:令和8年3月31日