はじめに
発達障害をはじめ、特別な支援や配慮を必要とするこどもの支援には、家庭と教育と福祉の連携が不可欠です。本データベース(つながる実践DB)では、このようなこどもへの支援を「発達支援」と位置づけ、各自治体における発達支援の取組を、教育分野と福祉分野の担当部署の皆さまが活用しやすい形で整理・掲載したものです。 自治体の種類や地域、各自治体が回答した特徴的な取組内容をもとに、必要な情報にスムーズにアクセスできるよう構成しています。構築経緯などの詳細は、「発達支援における自治体取組データベース~家庭と教育と福祉がつながる事例集~の経緯等について」(PDF:260KB)をご覧ください。
ICFシステム活用を通したこども支援の人材育成と支援体制の構築
取組に関する情報
| 自治体名 |
愛知県 碧南市 |
| 取組の概要 |
碧南市は発達障害児支援の充実のため作業療法士や言語聴覚士などの専門家による巡回支援を開始したが、幼稚園教諭や保育士が専門家の助言だけに頼らずに支援の充実が図られるよう、支援者自身のスキルアップが必要との課題が挙げられた。そこで、平成30年度より厚生労働省のモデル事業として北海道大学と連携し、ICF(国際生活機能分類)システムを導入した。
本システムによる情報収集は負担が大きかったが、ASD・ADHD児者向けに項目を絞った「コアセット」版を開発、導入したことにより、情報収集負担が軽減された。親子通園施設や保育所では日常記録にICFシステムの視点を取り入れ、学校や保護者にも研修を通じて理解を促進。支援会議ではICFシステム情報を基に事前に支援方針を整理し、関係者間で効果的な支援を構築している。
支援者の視点が具体化し、記録の質が向上したことで、保護者との信頼関係も深まり、支援の好循環が生まれている。ICFシステムの有用性を実感した職員がサポーターとなり、相談しやすい体制が整ったことが、継続の要因となっている。 |
| 取組の関係部署 |
こども健康部 こども課 発達支援係
こども健康部 保育課
教育委員会 学校教育課 |
自治体に関する情報
自治体ホームページ
https://www.city.hekinan.lg.jp/index.html
総人口と総人口に占めるこどもの比率
| 総人口 |
72,534人 |
総人口に占めるこども比率 |
18.50% |
| 出典 |
総務省住民基本台帳 R6.1.1
*本表における「こども」とは総務省住民基本台帳に準じ、0歳以上19歳以下の者を示します。 |
教育・福祉関連の地域資源情報
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小学校 |
中学校 |
高等学校 |
特別支援学校 |
| 公立 |
7校 |
5校 |
2校 |
- |
| 私立 |
1校 |
1校 |
1校 (小中同一のインタースクール) |
- |
| 出典 |
碧南市HPより R7.4.1現在 |
| 特別支援学級・通級の設置状況 |
特別支援学級:小学校7校・中学校5校設置
通級による指導:小学校7校・中学校5校設置 |
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児童発達支援センター |
児童発達支援事業所 |
放課後等デイサービス |
放課後児童クラブ |
| 市内 |
1施設 |
6施設 |
12施設 |
8施設 |
| 出典 |
碧南市HPより R7.4.1現在 |
| 障害児通所支援受給者数 |
385名 |
| 出典 |
厚生労働省 R6.3 |
1.ICFシステム活用を通したこども支援の人材育成と支援体制の構築
(1)取組の経緯
<体制整備・モデル事業実施の概要>
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平成28年度~令和元年度の市長のマニフェストに「発達障害児の支援の充実」が明記された。
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平成28年度から、外部の作業療法士や言語聴覚士などの専門家による保育所・幼稚園等への巡回支援を開始した。
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平成29年度、18歳未満のこどもの発達相談、保護者支援、支援者のスキルアップ支援、関係機関とのネットワーク機能を担う窓口として、福祉課に「発達支援係」を設置した。
-
平成30年度から、「発達障害児者地域生活支援モデル事業」として、ICFシステムを活用した支援関連情報の把握・共有と効果的な支援の構築・実践を行った。
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令和元年度より、幼児期や学齢期の児童に対してICFシステムを活用した家庭・教育・福祉の連携による地域支援体制づくりを行った。
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令和3年度より、ICFシステムを活用した階層的支援体制の構築を目指し、取組を開始した。
<モデル事業の流れ(平成30年度~令和4年度)>
-
平成28年度に開始した巡回支援は、専門家の助言により、対象となる幼稚園や保育所の現場に新しい視点を提供し、支援の質の向上に寄与した。発達支援係は、今後のさらなる目標として「支援者が自律的に支援を立案・実施できるスキルの向上」が必要であると捉えていた。
-
こうした状況の中、早期療育の場の必要性についての検討が市内で開始された。検討の過程で、「ICF(国際生活機能分類)の視点に基づく情報把握・共有システムの研究開発」について知る機会があり、開発者である北海道大学の安達潤教授と相談を行った結果、日常の情報をICFシステムに取り込むことが、支援の充実を図る上で有用であるとの知見を得た。そこで、厚生労働省の事業「発達障害児支援地域生活支援モデル事業」も活用し、ICFシステムを活用したこども支援の体制作りを進めていく運びとなった。
〇 ICF(国際生活機能分類)
ICF(国際生活機能分類)とは「人間が生きることの全体像」を表現するために、WHO(世界保健機構)が2001年に採択した人間の生活モデルです。
日々の活動や社会参加などの「生活機能」を全体的な観点から記述・分類したもので、1980年に提示されたWHOの障害モデルが全面的に改訂されたものです。またICFは生活機能に加えて、生活機能と相互影響しあう「環境」を重視し、人々が暮らしやすい環境を整えることが障害の軽減にもつながるという考え方に立っています。
ICFは合理的配慮をうたった障害者権利条約の障害観とも深く関連しています。
〇 ICF情報把握・共有システム(ICFシステム)
ICFシステムとは、北海道大学大学院教育学研究院の安達潤教授が研究代表を務めた研究チームにより、ICFの考え方を取り入れて開発された発達支援システムです。
支援者が子どもの発達を支援するための情報(手がかり)を収集・共有し、子どもの状況を理解し、よりよい支援を作り上げていくためのものです。
碧南市では平成30年度より安達教授にご協力いただき、ICFシステムを厚生労働省の発達障害児者地域生活支援モデル事業に活用してきました。
図1 ICF情報把握・共有システムの構成 碧南市HPより
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<各年度におけるモデル事業の内容>
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市が実施する親子支援事業「のんのん」と親子通園施設「にじの学園」に通うこどもに対して、ICF情報把握・共有ツールを活用し、支援関連情報を把握、関係者共有し、効果的な支援構築とその実践を行った。
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実施様式はICFシステムのフルバージョン。質問項目・情報収集項目が84項目あった。
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対象は通園施設の幼児で、当該施設の支援員が実施した。
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●ICFシステムに関する研修と幼児期及び学齢期の児童にモデル的にICFシステムを活用し、碧南市地域支援体制の充実が図られ、家庭・教育・福祉の連携が強化されるか検証した。
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①ICFシステムを用いた情報収集と支援会議の研修
対象:市内の発達支援に関わる支援者<幼稚園、保育所、福祉サービス事業所、相談支援事業所、保護者団体、行政(福祉課、こども課、学校教育課)>
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②ICFシステムを元にした支援会議の実施
対象:障害児通所事業所と早期親子支援事業よりそれぞれ対象児を設定した。
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■現場の反響
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・支援会議では、情報収集項目が多いため負担が大きいとの声が挙がった。
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・一方で、多岐にわたる情報収集により、今まで把握していなかった対象児の能力や苦手な側面が明らかになった点は高評価であった。また、その情報を保護者や他職種とも情報共有することでそれぞれの立場で、こどもの姿の捉えが深まり、より適切な支援方法が考え出されたり家庭、教育、福祉で役割分担を行うことができたりしたこと、さらに、こうした多岐にわたる情報収集が支援者のスキルアップにも繋がったことなどが高く評価された。
〇ICFシステムを活用するための工夫(令和2年度)
※昨年度の取組から、ICFシステム活用で多くの利点が確認される一方で、ICFシステムの情報収集の多さによる負担感も現場から示されていたためコアセットを活用することとなった。
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●以下のような工夫をすることで、 一般的な日常支援におけるICFシステム活用の進展を目指した。
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①情報収集項目数を絞り込んだコアセット版ICFシステムの活用
コアセット版ICFシステムの活用により、活動と参加のフル項目版127 項目と比較し、0-5 歳版で約5 分の2、6-16 歳版と17 歳以上版で約2 分の1に絞り込めた。
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②日々の支援記録をコアセット版ICFシステムに直結したものへ変更
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③ICFシステムを活用する事業所への費用支弁
児童発達支援又は放課後等デイサービスの事業所がICFシステムを活用し、情報収集から関係機関との支援会議を実施した場合、1回あたり7,000円の費用支弁をした。
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※ICFコアセットとは: ICF(国際生活機能分類)のコアセットとは、ある特定の疾患の状態評価に関連する項目を、定められた科学的手続きに則って、選択・検証し、最終的にまとめたもののことである。今回活用したICF情報把握・共有システム(コアセット版)は自閉スペクトラム症のICFコアセット及び注意欠如多動症のコアセットを昨年度までの本事業で活用してきたICF情報把握・共有シートに導入したものである。(オリジナルのICF 簡易コアセットに含まれない項目を付加する作業は、安達潤(北海道大学大学院教育学研究院教授)に加え、発達障害支援に長年の経験を持つ児童精神科医である内山登紀夫(大正大学教授・よこはま発達クリニック院長)による採否の協議に基づいて行われた。)
■ICFシステムを活用した支援者への調査結果
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①コアセットの活用の活用
通常版ICFシステムでの課題であった情報収集の労力が過大である点については、コアセット版の活用により解消された。コアセット版では通常版に比べ情報収集項目が半減されたが、情報収集からの気づきや、支援計画の質、多領域連携での効果的な実現など通常版と変わらぬ効果が確認された。情報収集量が少なくなったコアセット版ICFシステムを活用することで、日常生活の支援に取り入れやすくなった。
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②日々の支援記録の変更
記録を続けることにより時間の経過とともに慣れていき、ICFシステムによる記入の負担感は軽減された。また、支援者自身が、ICFシステムによる記録以前の情報収集には偏りがあったことに気づき、こどもを見る視点を養う効果も得られた。
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③ICFシステム活用事業所への費用支弁
児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所に対し、ICFシステムを活用した情報収集を行って支援会議を実施した場合にはその費用を支弁するとしたことは、継続活用の動機付けとなったものと思われる。


図2 ICFシステムの記入労力比較(モデル事業報告会碧南市資料)
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1.巡回支援事前研修と保育所・幼稚園・児童クラブへの巡回支援
保育所、幼稚園や児童クラブにICFシステムの考え方を普及させるため、次の①~③を行った。
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①園長、主任級の職員に対し、環境要因の把握を明示した巡回支援事前情報シートの記入方法、記入された情報を使った支援の考え方の事前研修
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②巡回支援の際に、事前情報シートをもとに事例検討会の実施、こどもの理解を深め、環境調整支援を考える機会の提供
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③効果検証のため、①、②参加者に対し、ICFの観点による支援の有効性、こどもや支援者自身の行動、気持ちの変化等についての質問紙による確認
2.ICFシステム研修の実施(支援者向け)
ICFの考え方、ICFシステム構成や使い方に関して2日間の座学研修を実施した。
3.ICFシステム研修の実施(保護者向け)
親子の会会員やICFシステム導入事業所利用児の保護者を対象に講演とグループワークを実施した。
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■現場の反響
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ICFの考え方の普及により、「(本人の心身機能等にばかり着目するのではなく)環境を整え、より早く適切な支援につなげる」との理解が地域に浸透してきた。一方で、これを日常の支援に取り込むに至っていない支援者もまだ半数程度いることから、普及活動を継続する必要があることも明らかになった。
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保護者向け研修において、ICFの考え方を伝える機会を持つことで、保護者が、自分のこどもの良さを引き出せる子育ての仕方を見つけてそれを取り入れるようになるなど、子育てに前向きになった。
〇 現場職員による活用の広がり
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ICFシステムを日々の業務に活用している現場では、「これがないとこどもの見立てができない」と述べる職員が複数現れるほどICFシステムを積極的に活用し、支援の基盤としている様子が伺える。これらの職員が、まだ活用に迷っている職員に対し、自発的に活用方法の指導や導入支援の役割を担うようになってきている。
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当初は、ICFシステムの普及のため、発達障害係担当者と主任保育士が安達教授からレクチャーを受け、その後、この2名が他の支援者に指導を実施するという形を取った。その後、積極的に活用を支持する職員へと広がり、さらにその職員らが後輩などに指導していくという形で、活用が組織内に浸透したという経緯である。
(2)ICFシステムの視点に基づいた取組の現状
<現場におけるICFシステムの視点に基づいた取組>
〇 公設の療育機関
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市が実施する親子支援事業「のんのん」と親子通園施設「にじの学園」では支援者が全員ICFシステムの様式を活用しており、合わせて約60人から70人ぐらいの児童を対象としている。
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親子通園施設「にじの学園」では、ICFシステムと同じ形式で、日々の記録を記載している。1、2ヶ月情報が溜まったら、記録から必要な情報をピックアップしてICFシステムに載せるようにしている。発達支援係が記録に関する助言等のサポートを行っている。
〇 福祉サービス事業所
〇 保育所
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保育所において当時の市の保育所担当課の指導保育士から、「碧南市がICFシステムを推進する以上、保育所においても特別な支援が必要なこどもの記録を、『(こどもが)どのような場面・関わりであれば活動、参加できるか』というICFシステムの考え方を用いた記録へと変更すべきである」との意見が出され、これを受けて記録用紙の変更が実施された。記録用紙の変更当初は記録の多さに戸惑う反応も見られたものの、当該指導保育士が適切に説明を行うなどサポートを行った。
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発達支援係もICFシステムの考え方を浸透させるための活動を展開した。より多くの保育士が集まれるよう、時間帯を分けて、計4回程度、記録の書き方研修や記録を活用した個別支援計画作成研修を年度当初に実施した。また、研修会だけでは理解できなかった保育士のために、保育所に出向いて、こどもの様子を見ながら個別にアドバイスするなどのサポートを行った。
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これらの取組の結果、現在では保育所におけるICFシステムの考え方は根付いている状況にある。保育士からは、「この子にはこのような苦手さがあるが、こんな場面だと良い面が見られたから、そういった面が発揮できるよう、このような関わり方がよさそう」「このような遊びであれば皆と活動できる」といった保育の工夫が自発的に行われるようにもなってきた。
〇 教育機関
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以前は、市立小中学校を対象に学校教育課が実施している「コンサルテーション事業」への申込に際して学校から提出される記録様式が統一されていなかったため、記述内容にばらつきが生じていた。また、「このようなことで困っている」「これほど大変である」といった主観的な記述が中心となり、こどもの状態を客観的に把握することが困難であった。
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そこで、コンサルテーション事業において学校教育課に提出される記録様式を、学校教育課と発達支援係と相談員とで協議して、令和5年度からICFの視点を取り入れたものに修正し、その上で、教育相談室の臨床心理士の相談員が巡回支援を実施することとした。なお、当該相談員はICFシステムの普及推進委員会のメンバーであった。
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学校現場におけるICFの視点の活用については、現場からの意見を聴取しながら対応を進めている段階であり、保育所と同様、土壌作りから継続的な取組が不可欠であると認識している。
〇 保護者
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保護者向けにICFの考え方をわかりやすく伝えることで、ICFの視点形成―特に「環境」という視点や捉え方を培ってもらうことを目指し、令和3年度より、継続的に保護者向け研修会を実施している(1回に17~18名参加、託児なし、これまでに3~4回開催)。
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令和3年度の研修実施後の保護者アンケートでは、保護者自身の気づき、研修内容の理解等に関して、全て肯定的な回答であった。全員が「今回学んだ考え方を、支援者も広く知ってほしい」と回答していることからも、ICFの考え方のよさを実感していることが伺える結果であった。
<ICFシステムの視点に立った支援会議>
*本項については、文部科学省「発達障害のある児童生徒等への支援に向けた教育・福祉の連携事例集」にも紹介がある。
〇 支援会議の状況
〇 支援会議の事前準備
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支援会議の実施に先立ち、学校の教員には、学校現場でしか把握できないICFシステムの8項目の記入を依頼している。他の項目については、事業所及び事業所が保護者から聴取した家庭の状況を統合し、一つの情報として整理する。これらの情報は、学校の教員を含む全参加者に対して事前に共有される。
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また、これらの情報に基づき、こどもに対する支援の優先順位についても、事業所、相談支援専門員、及び発達支援係の間で事前に共有される。特に、「どこが支援のポイントか、関係者全員で共有したいか」という点について、事前に発達支援係担当者との約1時間の打ち合わせを行う。
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このように、事前の情報共有及び事前打ち合わせを実施した上で支援会議が開催されるため、会議では「このように支援を進めてみる」という具体的な支援方針の共有までが1回の会議で完結される。
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ICFシステムの研修を通じて、例えば「集団行動ができる」等の抽象的で高次な目標を直ちに設定するのではなく、「緊急性」、「わずかな支援で変化しやすい側面」、「発達段階」、「困難さのベースとなっている箇所」など、複数の具体的な目標設定の視点が得られた。
(3)ICFシステムの成果と課題
<ICFシステムの成果>
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ICFシステム導入以前の支援者による日々の記録は、「こどもが元気よく登園した」「楽しそうであった」「元気よく帰っていった」といった主観的かつ抽象的な記述が多く、記録の視点も一様でなかった。その後、ICFシステムの項目に沿って記録を行うようになった結果、「こどもが周囲をどのように捉えていたのか」「模倣行動はあったのか」「手の使い方はどうであったのか」といった具体的な視点が記録内容に盛り込まれるようになった。記録を作成する過程を通じて、支援者全体のこども観察の質が向上した。
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発達相談の場においても、「注目はどうか」「聞くことはどうか」「手の使い方はどうか」といった具体的な質問が支援者や保護者から自然に出るようになった。
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ICFシステムによる記録の継続が、支援者のスキルアップにつながり、その結果支援者はこどもたちへ、より具体的な支援を提供できるようになった。また、児童の実態や支援内容を保護者の方にも具体的かつ明確に伝えられるようになった。支援者は保護者からの信頼を得るに至り、信頼を得たという実感が自信につながるという、好循環が生まれている。
<ICFシステムの課題>
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モデル事業の当初、ICFシステムの運用を開始したいくつかの事業所の中には、継続して使用されなくなった事例も認められた。
当該事業所からは、「ICFシステムの項目は難解であり、どのように記入すればよいのか」という意見や、「完成した情報で支援会議を実施すれば非常に有用であったが、完成に至るまでの作業が本当に大変であった」という意見が挙げられた。
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継続して使用している事業所のように、支援者が記録の仕方に迷った時にすぐそばに質問できる人がいなかった。定期的なサポート体制ができていなかったことが反省点として挙げられる。
<ICFシステムを継続するためのポイント>
〇 サポート体制の構築
〇 支援者の成功体験の醸成
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現在、早期療育の現場でICFシステムを取り入れている職員からは、「今までどのようにしてこどもを捉えていたのだろうか」という発言が認められる。こどもを見る視点が変化し、支援者のスキルアップにつながった結果であり、3年、4年と継続して使い続けてきた成果であると考えられる。
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外部のICFシステム専門家による支援のみでは、問い合わせ手段がオンラインやメール等に限定されるという課題があった。これに対して発達支援係担当者が直接的なサポートを行うことで、身近に相談することができ、多くの支援者がシステムの使用を継続することができた。
2.児童発達支援ネットワーク研修
(1)児童発達支援ネットワーク研修の概要
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福祉課(現こども課)主催による、公立小中学校の教員と福祉の支援者(子育て支援センター、保健センター、幼稚園・保育所、児童クラブ、事業所等)が一堂に会して行う研修を、平成30年度より継続して開催している。
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開始当初は2~3講座を開設、数年間は同じ内容を繰り返し行ったが、参加者からの要望もあり、その後、研修規模を拡大するとともに内容の充実を図り、現在は基礎研修7回、中級研修2回、応用研修2回の計11回開催している。参加者は毎年330名ほどである。
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本研修は、多職種の支援者や教員が意見交換を行う場を提供し、それぞれのアプローチの違いを学ぶ機会となっている。研修では、学校教員と福祉関係者など、隣同士が異なる職種になるよう座席を設定し、話し合いの時に自己紹介を行うなど、交流を促し連携の土台を築けるよう工夫している。
(2)教員の参加を促す工夫
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教員の参加は平成28年度からである。学校側も参加を出張業務として認めている。
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参加した教員から、管理職にも聞いてもらいたいとの声を受け、年度ごとに研修一覧に「管理職へのおすすめ」等対象者を明記した案内を添えるという工夫をしている。
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令和6年度の合計参加者は324人であり、そのうち小中学校の教員は52人(16.0%)であった。
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令和7年度は、残り3回の研修を残す時点での延べ参加者が198人であり、そのうち小・中学校の教員は60人(30.3%)と、昨年度より教職員の参加割合が高い。
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なお、令和6年度までは上記のネットワーク研修とは別に、夏休みの時期に特別支援担当の教員向けのICFに関する研修を、教育委員会と発達支援係が合同で実施していたが、令和7年度からはこれも上記ネットワーク研修に組み込むことにした。
〇 親子通園施設「にじの学園」
〇 早期親子支援事業「のんのん」
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対象:発達が気になる2歳、3歳の子と保護者
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内容:親子遊び、設定保育
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頻度:各クラス週1回(5ヶ月間)
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実施機関:こども課 にじの学園
参考となる自治体資料・HP(アクセス日:令和8年1月22日)
担当部局:碧南市こども健康部 こども課 発達支援係 <TEL:0566-95-9885>
掲載日:令和8年3月31日