市が実施する年中児相談
可児市 年中児相談の経緯
年中児を対象とした相談は、こども応援センターぱあむにおいて展開されている。
可児市は、平成29年に部局を再編成、「こども健康部」を新設し、同部局の子育て支援課内に「こども応援センターぱあむ(以下、「ぱあむ」と記す)を設置した。また、再編成の検討と並行して、発達支援が必要なこどもの支援のあり方についても検討を行った。その中で、法令に定められている3歳児健診と就学前6歳児健診の間に3年間の空白がある点に着目した。この期間は、幼稚園・保育所の在園期間に当たることから、その中間地点、すなわち年中児の段階で、特別な支援を必要とするこどもの早期発見ができないかという考えから、年中児相談が開始されることとなった。なお、年中児巡回相談を含む事業は、ぱあむによるこどもと保護者、幼稚園・保育所・認定こども園(以下、「園」と記す)の関係者などへの支援の取組として、可児市市政経営計画の重点事業に位置づけられている。
年中児相談の実施体制と流れ
実施対象と目的
この事業は、市内の全ての園及び5歳児が在籍する全ての企業主導型保育事業(以下「園等」と記す)を対象として実施している。心理専門職が園等を訪問し、園等の職員や保護者に対し配慮すべきことに関する助言を行うことで、こどもたちにとってより過ごしやすい環境を実現することを目的としている。
担当体制
相談は、任期付き職員と会計年度任用職員の臨床心理士2名が担当している。
実施の流れ
1. 相談の案内とアンケートの配布
園等に対し、ぱあむから「年中児相談の希望」に関する案内を送付する。ぱあむは、希望が寄せられた園等を、日程調整した上で訪問、保護者用のアンケートを持参するとともに、アンケートの趣旨説明をする、園等から状況の説明を受けるなどの事前準備を行う。アンケートは園等を通じて年中児のいる家庭に全戸配布される。なお、アンケートについては、他自治体で使用されている内容をもとに、子育て支援課の臨床心理士及び健康増進課の保健師が、より保護者に伝わりやすい内容となるよう一部修正を加えたものを使用している。
2. 情報整理と対象児の確定
回収したアンケートをもとに、園等と担当相談員(臨床心理士)が当日行動観察をする対象児を確定する。その後、市の健康カルテシステムを活用し、対象児に関する母子保健相談や家庭相談の記録、保健師による健診情報を収集、整理する。
3. 園等での行動観察と助言
担当相談員が園等を訪問し、こどもたちの活動場面を観察する。観察結果を踏まえ、こどもの発達特性や支援の方向性について、園等の職員にその場で助言を行う。
4. 個別面談と情報共有
アンケートで面談希望のあった保護者については、日程を調整し、各園等で担当相談員との個別面談を実施する。面談後、保護者の同意を得たうえで、その内容を園等にフィードバックする。これにより、園等・保護者・相談員が情報を共有しながら、こどもへの支援方針を確認・調整する体制となっている。また、アンケートでは希望が無かった保護者であっても、そのこどもの行動観察の結果、保護者と面談することが適当と判断される場合は、園又は健康増進課の保健師より個別面談を勧奨する。
5. 発達検査
個別面談の結果、発達検査の受検が適当と判断される場合、担当相談員から保護者に受検勧奨する。受検結果については、保護者の同意を得た上で、園等へフィードバックする。
発達と教育の相談会
背景
可児市では、特別支援教育育成会事業として、「発達と教育の相談会」が実施されている。この相談会は、かつて地域に児童精神科が少なく、発達に関する専門的な医療相談が難しい状況であったことから、その対応のために開始された事業である。特別支援教育育成会は可児市の特別支援教育にかかわる学校の職員(各校育成会の理事)、福祉部局職員、医師会代表等のメンバーで構成されており、事務局は教育委員会事務局教育研究所内に設置されている。
特別支援教育育成会では、上記相談会のほか、市内5つの中学校の特別支援学級に在籍する生徒同士の交流会や、小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒の作品展などの行事を実施している。
開催頻度と対象者
「発達と教育の相談会」は、令和7年度は年間11回の開催が予定されている。相談の対象者は、市内在住の就学前のこどもや小中学校に通う児童生徒とその保護者、教員である。
相談体制と申し込み
相談会では、医師(児童精神科)、子ども相談センターの職員、福祉関係機関の職員、学校の教員などが個別相談に応じている。相談を希望する場合、児童生徒が在籍する小中学校又は教育研究所に事前に申し込む必要がある。申し込みがあれば、随時、教育研究所の指導主事が申し込みを行った保護者に連絡、相談内容を確認し、それに応じて適切と考えられる専門家を相談対応者として選定する。
外国籍幼児における就学前支援
可児市では、令和5年時点で外国籍居住者が市民の 8.4% を占めており(第4期可児市多文化共生推進計画・市民課資料より)、日本国内の自治体の中でも外国籍住民の比率が高い市である。
1.「ひよこ教室」開設の経緯
平成15年、可児市は、当時任意団体だった可児市国際交流協会に委託し、ブラジル人学校在籍児を対象とした放課後支援や夏休み支援を行ったことが発端である。本事業を進める中で、事業対象でなかった乳幼児の保護者からの相談も多く寄せられ、その相談内容などから、多くの未就学児が利用している外国人専用の認可外保育施設は日本語環境があまり整えられていないこと、また、認可保育所・幼稚園への入園も困難であることなどから、日本語や日本における基本的な生活習慣等を十分に身に付けることなく就学期を迎えるこどもが少なくないということが分かった。また、同年から翌年度にかけて、可児市をパイロット地域として実施された不就学の課題を把握する調査(不就学調査)の結果から、環境要因等により不本意な理由で不就学となっている外国籍のこどもが多いことが分かった。なお、ここでいう「不就学」は、「日本の学校にも外国人学校にも通っていないこども」と定義されている。
これらを踏まえ、可児市では、不就学ゼロを掲げ、外国籍のこどもを早期に支援につなげる取組などの強化を図ることとした。これを背景に、平成22年度には、可児市国際交流協会の自主事業として外国籍の就学前のこどもを対象とした「ひよこ教室」が創設された。
2.多文化共生推進計画における位置づけ
平成23年3月に策定された第1期可児市多文化共生推進計画では、「外国人の子どもの教育を受ける機会を保障し、不就学の解消をめざす」ことが明記され、公立学校における受入体制整備が重点施策とされた。「ひよこ教室」は、この方針を具体化する就学前支援として位置づけられ、外国籍幼児が円滑な就学につながるための入口として重要な役割を担っている。
可児市は、平成27年度以降、文部科学省の補助事業である「外国人の子供の就学促進事業」を継続して活用しており、令和7年度においても、ひよこ教室を中心に就学前支援の継続強化を図っている。
3.ひよこ教室の対象と目的
対象は全ての外国籍の就学前のこどもであり、様々な国籍のこどもが利用している。可児市内には外国人専用の認可外保育施設が複数存在し、ひよこ教室を利用するこどもの多くがこれらの保育施設に在籍している。ひよこ教室の利用については、原則として保護者の希望があれば受け入れているが、重度の障害が認められる場合には、利用を断ることがある。
保護者からの申請は従来、紙媒体で行われていたため、書類の不備や未提出が多く手続きが円滑に進まないことがあった。しかしフォームによる入力方式へ切り替え二次元コードを導入したことで、スマートフォン等から簡便に申請を提出できるようになり、より円滑に進むようになった。併せて、肖像等の個人情報の取扱に関する同意確認や、参観会・ガイダンスの申込みに対しても適切な回答が確実に返されるようになった。目的は以下の通り。
- 小学校の生活や学習のイメージをつかむこと
- 集団生活に慣れること
- 指示の理解をはじめとする日本語コミュニケーション力の基礎形成
- 学校生活に必要な基本的生活習慣の獲得
4.ひよこ教室の活動時間・事業内容
令和7年度からは、前期(4〜9月)・後期(10〜3月)に分け、年間を通じて事業実施している。遊びや体験を通して日本語指導や生活習慣指導等を行っている。
主な内容は以下のとおりである。
- 自由遊び、朝の会、運動遊び、歌、ワークショップ、防災体験などの活動
- 小学校の見学や給食体験
- 物の区別、自他の区別の確立を目指して、基礎的リテラシーとしての自分の名前書きの練習
愛知県プレスクール実施マニュアルを参考とし、日本語を日常的に用いることを基本としているが、英語を補助的に使用することがある。利用児は一日12〜17名程度で、スタッフは総勢8名、ローテーションにより1日4名で担当している。なお、ひよこ教室への送迎は保育施設のスタッフが担っている。
5.在籍保育施設等及び小学校との連携
<訪問による連携>
ひよこ教室は、在籍する保育施設等及び小学校との連携を重視している。ひよこ教室の担当者が、保育施設等を訪問してひよこ教室利用予定のこどもの様子を観察する。その保護者にはひよこ教室を参観してもらうなど、保育施設等との連携を図っている。また、小学校との連携については、ひよこ教室利用児の保護者向けに就学ガイダンスを実施している。就学ガイダンスは、教育委員会教育研究所の指導主事が主導し、国際教室担当教員(注1)や通訳者も参画している。さらに、小学校への円滑な移行のため、外国籍児童生徒コーディネーター(注2)がひよこ教室やこどもが在籍する保育施設等を訪問してこどもの行動観察を行い、入学予定の小学校へ情報提供を行っている。入学する数か月前には外国籍児童生徒コーディネーターが再度訪問し、前回訪問時からのこどもの変化、例えば集団行動や日本語の言語習得等の変化等を確認している。その際、国際教室担当教員が同行することもある。
(注1)国際教室担当教員は、外国籍児童生徒等が在籍する市内の小中学校に配置されており、日本語指導や教科指導をおこなっている。これらの学校では、岐阜県教育委員会との協議により国際教室が設置されている。
(注2)外国籍児童生徒コーディネーターは、「ばら教室KANI」に配置され、外国籍の学齢期のこどもやその保護者に対する就学相談、不就学調査や就学状況把握、小中学校との連絡調整などを担っている。「ばら教室KANI」は、初めて日本の 公立小中学校に就学する 外国籍のこどもが通う初期適応指導教室であり、対象のこどもに対し、学校教育で必要となる生活習慣や初歩的な日本語を一定期間 集中的に指導している。
<幼保小連携協議会へのひよこ教室スタッフの参加>
可児市では、園等から小学校への円滑な接続を目指す「幼保小連携」を推進しており、毎年、小学校ごとに幼保小連携協議会を開催している。本協議会には、1年生のこども達が就学前に通っていた各園等の保育士等が参加し、ひよこ教室のスタッフも参加している。また、国際教室担当教員も参加しており、外国籍児童の学校生活の様子や学習の状況について情報提供を行う。さらに、協議会当日に、こどもの授業中の様子をひよこ教室のスタッフが参観することがあり、そういった情報収集の結果を踏まえ、必要に応じてひよこ教室のプログラムの見直しを行うことがある。
- NPO法人可児市国際交流協会
- 可児市国際交流協会は「国際化が日常化された地域社会の実現」を基本理念に掲げ、多様な文化をもった人々がともに協力し合って暮らせる安心安全のまちづくりを目指している。2008年からは、可児市より多文化共生センター「フレビア」の指定管理者として運営委託され、日本語学習、就学支援、地域参加促進など、多文化共生の推進に取り組んでいる(第4期 可児市多文化共生推進計画より要約)。
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参考となる自治体資料・ホームページ(アクセス日:令和8年2月27日)
担当部局:福祉局 生活支援室 発達支援課 <TEL:078‐918-5841>
掲載日:令和8年3月31日