はじめに
発達障害をはじめ、特別な支援や配慮を必要とするこどもの支援には、家庭と教育と福祉の連携が不可欠です。本データベース(つながる実践DB)では、このようなこどもへの支援を「発達支援」と位置づけ、各自治体における発達支援の取組を、教育分野と福祉分野の担当部署の皆さまが活用しやすい形で整理・掲載したものです。 自治体の種類や地域、各自治体が回答した特徴的な取組内容をもとに、必要な情報にスムーズにアクセスできるよう構成しています。構築経緯などの詳細は、「発達支援における自治体取組データベース~家庭と教育と福祉がつながる事例集~の経緯等について」(PDF:278KB)をご覧ください。
教育と福祉による多様な発達支援と学童保育クラブにおける支援
取組に関する情報
| 自治体名 |
東京都 目黒区 |
| 取組の概要 |
目黒区では、障害の有無にかかわらず、すべての子どもが可能な限り共に学ぶことに配慮しつつ、自立と社会参加に向けて一人ひとりの教育的ニーズに応じた連続性のある多様な学びの場を充実させ、インクルーシブ教育システムの構築に向けた取組を推進している。
福祉分野では、児童発達支援センター「すくすくのびのび園」が、幼児期から18歳までのこどもを対象に、療育や相談支援を行い、発達障害支援拠点「ぽると」では、学齢期以降の幅広い年齢層の方を対象に、相談支援や家族支援、グループ活動、普及啓発を実施している。
教育委員会は、就学相談などを通じて学校と福祉機関の連携を強化している。
また、学童保育クラブでは、職員同士での支援に関する情報交換や専門家による巡回指導を通じて障害児など配慮を必要とするこどもに対する支援の質の向上を図っている。 |
| 取組の関係部署 |
障害者支援課 知的障害・発達障害相談係 ・ すくすくのびのび園
教育支援課 特別支援教育担当
障害施策推進課 計画推進係
保育課 保育支援係
放課後子ども対策課 放課後子ども事業担当 |
自治体に関する情報
自治体ホームページ
https://www.city.meguro.tokyo.jp/
総人口と総人口に占めるこどもの比率
| 総人口 |
279,520人 |
総人口に占めるこども比率 |
14.27% |
| 出典 |
総務省住民基本台帳 R6.1.1
*本表における「こども」とは総務省住民基本台帳に準じ、0歳以上19歳以下の者を指します。 |
教育・福祉関連の地域資源情報
| |
小学校 |
中学校 |
高校 |
中等教育学校 |
特別支援学校 |
| 公立 |
22校 |
7校 |
3校 |
1校 |
― |
| 私立 |
2校 |
6校 |
7校 |
|
― |
| 特別支援学級の設置状況 |
小学校6校・中学校4校設置 |
| 通級指導教室の設置状況 |
通級指導学級:小学校1校、通級による指導(特別支援教室):小中学校全校設置 |
| 出典 |
令和7年5月1日 |
| |
児童発達支援センター |
児童発達支援事業所 |
放課後等デイサービス |
放課後学童クラブ |
| 区内 |
1施設 |
18施設 |
20施設 |
48施設
(学童保育クラブとして)
|
| 出典 |
令和8年度3月時点 |
| 受給者証発行数(障害児通所) |
1,019人 |
| 出典 |
厚生労働省R8.3 |
Ⅰ.教育と福祉による多様な支援
1.障害者支援課
目黒区では、「基本計画」及び「障害者計画」において「インクルーシブ教育システムの構築」を掲げ、障害の有無にかかわらず、すべてのこどもが可能な限り共に学ぶことに配慮しつつ、自立と社会参加に向けて一人ひとりの教育的ニーズに応じた連続性のある多様な学びの場を充実させていくこととしている。
(1)児童発達支援センター「すくすくのびのび園」の機能
児童発達支援センター「すくすくのびのび園」は、就学前の幼児を対象に療育を行う児童発達支援「すくすくのびのび園」と、保育所や幼稚園、学校に通うこどもを対象とした保育所等訪問支援事業、乳幼児から18歳未満の発達に心配のあるこどもとそのご家族への相談支援を行う相談支援事業「相談支援ひまわり」の機能がある。令和7年度における「すくすくのびのび園」のスタッフ構成は、管理者1名、児童発達支援管理責任者3名、療育指導員10名、心理相談員16名、福祉(目黒区における常勤職)15名(児童発達支援管理責任者3名含む)、栄養士1名、看護師1名、事務職2名となっている。
<教育との連携>
-
児童発達支援「すくすくのびのび園」では就学に際し、特別支援教育を含めた教育に関する保護者への情報提供や保護者からの相談対応等を行うとともに、すくすくのびのび園が実施した一連の支援内容を、保護者了承のもと、区教育委員会の就学相談担当者及び就学先へ情報提供している。
-
相談支援事業「相談支援ひまわり」の計画相談支援を利用している学齢期のこどもについては、サービス担当者会議を通じての学校との連携の他、必要に応じて学校を訪問してモニタリングを行う。また、保育所等訪問支援により学校を訪問する場合も、同様にモニタリングを通して学校や保育所や幼稚園と連携している。
<発達応援マルシェ>(令和7年度までの取組)
①目的
以下を目的に年に1回開催している。
-
発達に配慮や支援が必要なこどもたちの生活を豊かなものにする事業や情報について、関心のある区民に周知する。
-
区内の事業所や関係機関が一堂に会し、それぞれの事業所の理念や特徴、発達支援のスキルなどを情報発信できる機会とする。また、各事業所間の連携をさらに深めるための契機とする。
-
これから学齢期を迎えるこどもとその家族の障害児通所支援事業所の選択に資する機会とする。
②経緯
-
平成24年の児童福祉法改正を受け、民間による発達支援事業所や放課後等デイサービスが急増した。こうした状況の中、児童発達支援センター「すくすくのびのび園」の長と保護者との懇談において、多くの保護者から、福祉サービスや事業所に関する情報提供や利用の手引きを求める声が上がった。これを受け、平成27年より、地域の福祉サービスや事業所等の支援資源を紹介する「発達支援マルシェ」が実施されることとなった。
-
令和2年までは、「手をつなぐ親の会」と「めぐろ放課後等ネットワーク」(現「めぐろHumanねっとわーく」、目黒区内や近隣の事業所の協議会)とが共催により実施していたが、令和3年より、業務の効率化を図るため、「すくすくのびのび園」主催に移行した。
③開催状況
④教育との連携
(2)目黒区発達障害支援拠点「ぽると」
目黒区発達障害支援拠点「ぽると」は、区内在住の発達障害のある方及び発達障害の特性のある方(年齢は問わない)、その家族・目黒区内の事業所の支援者を対象に、発達障害に関するご本人やご家族からの相談受付、発達障害理解のための啓発など、発達障害に関する総合的な支援を行っている。
機能として、「来所相談・電話相談」、「家族支援」、「グループ活動」、「普及啓発」がある。ここでは「来所相談・電話相談」について取り上げる。
<来所相談・電話相談>
-
「ぽると」に所属する専門の相談員(社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等の資格を有する者)が、発達障害に関する不安や悩みを傾聴し、伴走的に適切な支援の方向性を検討する。相談内容に応じて、当事者が通う保育所、幼稚園、学校、その他の施設等の所属機関と連携を図り、助言等を行う。
-
「ぽると」は支援対象年齢を限定していないため、未就学のこどもも支援対象ではあるが、実態としては、未就学児や児童発達支援センター「すくすくのびのび園」の出身者の保護者は、「すくすくのびのび園」に相談することが多い。必要に応じて「すくすくのびのび園」は「ぽると」と連携を図りながら、両者で対応している。
2.区教育委員会
「目黒区特別支援教育推進計画(第五次)」において、「児童発達支援センター等の情報提供事業への教育委員会の参加」を実施策とし、「すくすくのびのび園」をはじめとした関係部局との連携を行い、切れ目のない支援を実施している。
(1)小学校就学前ガイダンス
-
本事業は区内全ての幼稚園、認定こども園、認可保育所、認証保育所(都独自の設置基準を満たした保育所)を訪問対象とし、特別な配慮を要する幼児の集団生活上の困難さを改善するための教育的支援について、教職員及び保護者からの相談を受け、対象児の行動観察や助言を行うものである。実施期間は5月から翌年2月までである。
-
教育支援課の学校経営支援員(元区立学校管理職)1名が、区から委嘱された小児科医1名、特別支援教育を専門とする大学教授1名、区の職員である教育相談員(心理士)1名のいずれかかとともに各施設を訪問し、保護者や職員を対象に、面談や助言を行っている。訪問時には必要に応じて保護者へ「就学相談のしおり」や「就学支援シート」を配付し情報提供を行っている。
-
なお、保護者や職員からの相談については、各保育所等が事前に受け付けて相談内容を把握し、これを教育支援課に提供した上で面談が行われている。
-
このように幼稚園・こども園、保育所を訪問して就学前に相談支援を行うことにより、就学後の適切な支援につなげている。
(2)就学相談
-
教育支援課の就学相談員は、就学前のこどもの保護者を対象に就学相談を行い、就学支援委員会へと繋げている。
-
令和7年度の就学相談員は、3名で、特別支援学校や小学校の元管理職等が就任している。
-
「就学相談のしおり」は、年長児の保護者だけでなく、年中児の保護者へも配布し、小学校就学前ガイダンス等にも参加可能としており、早期に準備ができるように配慮している。
-
年長児の保護者から教育委員会に事前相談があった場合は全て就学相談につなげている。
-
なお、入学後も、保護者からの要請があった場合に、必要に応じて、就学相談員が継続的な相談に応じている。
表 目黒区における保育所等支援の一覧
| |
小学校就学前
ガイダンス
|
教育相談員・
特別支援教育
主任専門員
による定期
巡回訪問 |
教育相談 |
センター的機能 |
児童発達支援
センター |
発達障害支援拠点
ぽると |
|
区立幼稚園・
こども園
|
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
民間幼稚園・
こども園
|
〇 |
|
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
認可保育所・
認証保育所
|
〇 |
|
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
| 小学校 |
|
〇 |
〇(国私立含) |
〇 |
〇(国私立含) |
〇(国私立含) |
| 中学校 |
|
〇 |
〇(国私立含) |
〇 |
〇(国私立含) |
〇(国私立含) |
| 学童保育クラブ |
|
|
|
|
〇 |
〇(巡回) |
| <管轄> |
<教育支援課>
特別支援教育担当
|
<教育支援課>
就学相談担当
|
<教育支援課>
めぐろ学校サポートセンター
|
<教育支援課>
指導主事
|
<障害者支援課>
すくすくのびのび園
|
<障害者支援課> |
| 訪問形態 |
巡回 |
巡回 |
依頼 |
依頼 |
依頼 |
依頼/巡回 |
| 事業の内容 |
区内全ての幼稚園・こども園・保育所等(122園)を訪問し、在籍する幼児の集団生活上の困難さを改善するための教育的支援について、教職員及び保護者からの相談を受け、幼児の行動観察や助言を行う。 |
区立学校・園の特別な支援が必要な幼児・児童・生徒の実態把握と学校・園への支援を行う。 |
不登校や人間関係、学業、行動や性格、親子関係や子育て、知能や発達などの、教育上の諸問題について、電話または来室により教育相談員(心理の専門職)が相談に応じている。 |
特別支援学校の特別支援教育コーディネーターを招聘し、障害のある幼児・児童・生徒へのアセスメント等に関する助言及び研修等を行う。 |
保護者からの依頼、又は保護者の同意を得た上で、幼稚園等へ訪問もしくは来園していただき必要な支援や助言を行う他、保育所等訪問支援事業を行う。 |
発達障害支援拠点において、 ひきこもりの状態にある人等への訪問相談や学童保育クラブ等に対する巡回相談などのアウトリーチによる相談支援を実施。必要に応じて保育所や学校、その他の支援機関などと連携し、ライフステージごとの提案等を行う。 |
ヒアリング情報をもとに発達障害情報・支援センターが作成
(3)進路変更等を視野に入れた相談
-
就学相談員は、こどもの学習状況から、学校や学級の進路変更を視野に入れた相談が必要であると判断した在籍校長からの要請があれば、学校を訪問して相談対応を実施している。また、就学支援委員会の審議結果と異なる学級に就学した児童・生徒については、学校からの要請の有無にかかわらず、年度当初に就学相談員が初回訪問を行っている。
-
就学相談員は、学校において児童・生徒の伸びた点や困り感を観察し、その後、保護者とともに、在籍校の管理職、担任、特別支援教育コーディネーターと協議を行い、児童・生徒の情報を共有し、今後の支援の方向性を確認している。
(4)個別の教育支援計画(学校生活支援シート)・個別の指導計画
教育委員会が対面で実施する「特別支援教育コーディネーター連絡会」や「特別支援学級・特別支援教室(通級指導教室の東京都での呼称)拠点校主任会」にて、個別指導計画や学校生活支援シート(個別の教育支援計画の東京都版)の作成方法、これらの保護者や福祉等の関係機関との共有方法等について周知を図っている。その後、参加した特別支援教育コーディネーターや特別支援学級主任・特別支援教室主任が、その内容を管理職や通常の学級の担任等に伝達している。
<個別の教育支援計画・個別の指導計画>
-
学校は、学校生活支援シートや個別の指導計画を活用して家庭との連携を強化している。区教育委員会及び区立の小中学校においては、令和7年度より、児童生徒の学業成績を校務支援システムに入力することで、担任や支援者が変わっても、成績データが次年度以降に引き継がれる仕様になっている。成績のほか、こどもの支援方法も引継がれる仕組みを整えている。
-
通常の学級に在籍する児童・生徒のうち、特別支援教室に入級している全児童を対象に、学校生活支援シートと個別指導計画を作成している。また、通常の学級に在籍する、「校内・外の人的資源等を活用することにより、困難さへの対応が可能と思われる児童・生徒」については、特別支援教育支援員による支援を受けることを前提とし、個別の指導計画を作成している。
(5)教育相談
区教育委員会の部署である「めぐろ学校サポートセンター」が主管している事業である。目黒区在住、在園、在学(国私立学校も対象)の幼児・小学生・中学生・高校生までのこどもと保護者から、不登校、学習・進学、行動・性格、親子関係や子育てのことなど、教育上の様々な悩みについて、電話又は来室により教育相談員(心理の専門職)が相談に応じている。
(6)保育所等訪問支援の小学校への制度周知
-
区立学校への保育所等訪問支援は令和3年度より実施されるようになった。導入初期には、学校現場における制度理解が十分でなく、障害者支援課や教育委員会への制度に関する問い合わせが見受けられた。こうした状況を踏まえ、障害者支援課は教育委員会と協働し、校長会を通じて、保育所等訪問支援に関する説明会を開始し、疑問点や意見を聴取したうえで、手引き「学校・園における保育所等訪問支援について」の作成を行った。作成にあたっては、厚生労働省の「保育所等訪問支援の効果的な実施のための手引書」を参考にしている。
-
その後、令和6年2月に手引きの改訂を行い、配布とあわせて制度の趣旨や運用方法等に関する説明を、校長会及び副校長会において実施した。以降は学校から障害支援課や教育委員会への制度に関する問い合わせは減少した。
Ⅱ.学童保育クラブ(放課後児童クラブ)における支援
1.学童保育クラブにおける障害児保育
-
目黒区では、特別支援学校又は特別支援学級に在籍しているこどもや手帳(身体・知的・精神)を所持しているこどもの学童保育クラブへの優先入所を制度化(「目黒区学童保育クラブ利用基準」)しており、そういったこどもたちへの対応として、入所前に保護者とのヒアリングや現在通園・通学している施設への訪問を行い、日頃の活動の様子を把握した上で、受入れを行っている。
-
受入れ後は、こどもの実態に応じて、カームダウン用のテントを設置するなど、各クラブにおいて具体的な支援方法を検討しながら対応している。
-
また、クラブごとに小学校や特別支援学校の校長を通じて、担任教諭との懇談の場を設けて継続的な情報共有や相談を行い、こどもへの理解を深めるとともに、学校との信頼関係の構築等にも努めている。
-
年に1回、「障害児保護者懇談会」を開催し、保護者同士の交流を促進するとともに、学童保育クラブの職員が保護者に利用児の生活や活動の様子を説明することで、保護者が学童保育クラブへの理解を深める機会としている。
2. 学童保育クラブにおける障害児保育に関する支援の質の向上
-
特別な支援を必要とするこどもへの対応力の向上を図ることを目的に、定期的に学童保育クラブの職員連絡会を開催し、支援に関する情報交換を行っている。
-
学童保育クラブを利用する障害のあるこども一人ひとりに応じた支援や保育内容の充実を図るため、目黒区発達支援拠点「ぽると」の心理士が、区内のクラブに対して巡回訪問を行っている。各クラブでは、事前に相談対象となるこどもを選定し、訪問当日は、こどもが来所する前に心理士と職員が打ち合わせを行う。来所後は、対象児の行動を観察し、こどもの帰宅後に職員への支援に対する助言等を行う流れである。対象児の人数に制限は設けず、対象児一人ひとりについて丁寧な助言を行っている。令和7年度は区内のクラブの半数(24か所)を対象に、年2回、合計48回の訪問支援を行った。年2回訪問することで、2回目訪問時に初回の支援後のフォローアップができ、より良い支援につながっている。この取組は、学童保育クラブの職員にとって、障害の有無にかかわらず多様な特性があるこどもへの関わり方や、保護者への対応のあり方について、深く学ぶことができる良い機会となっている。
参考となる自治体資料・HP(アクセス日:令和8年7月27日)
- 目黒区基本計画(令和4年3月策定)
- 目黒区障害者計画(第7期目黒区障害福祉計画・第3期目黒区障害児福祉計画)
- 児童発達支援センター(すくすくのびのび園)
- 目黒区発達障害支援拠点「ぽると」
- 東京都「学校生活支援シート」
- 学童保育クラブ
- 目黒区特別支援教育推進計画(第五次)
担当部局
- 目黒区障害者支援課 知的障害・発達障害相談係
- (TEL)03-5722-9510
掲載日:令和8年8月6日