就職後の支援
就職後の主な支援機関
障害特性により、自分の意見や希望、困っていることや心配な気持ちなどを、周囲に対して適切に相談、発信することに困難さがある発達障害のある方にとって、ご本人の特性を理解し、ご本人からのSOS信号を的確にキャッチできる周囲のサポートがとても大切です。
職場でのトラブルや問題行動などは、何もないところから突然発生するのではなく、職場内での何気ない声かけややり取りなど、小さなボタンのかけ違いが積み重って発生します。たとえば、「頭が痛い」と欠勤しがちなAさん。ジョブコーチが職場に出向いて状況を確認すると、声が大きく、早口なBさんとシフトが重なる日は休むことが多い。Aさんに確認すると、「Bさんが言っていることがわからず、Bさんの声を聞くと頭が痛くなってしまう。そのことをどう伝えればよいか悩み、体調不良を理由に休んでしまった」といったケースです。
職場でのつまずきや心配ごとなどは、できる限り小さなうちにみつけ、早期に解決をはかることが大切です。そのためにも、就職前の段階から困ったときに頼りになる支援機関や支援者とつながっておくことが大切です。
主な支援機関と支援内容
就職後に活用できる支援機関としては、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、就労移行支援事業所や障害者就労支援センターなどの送り出し機関があります。
地域障害者職業センター
すべての都道府県に設置されています。ハローワークと密に連携し、就職準備から就職、その後の職場定着に関する支援を提供します。
センターに所属する障害者職業カウンセラーが策定した支援計画に基づき、職場適応援助者(ジョブコーチ)が職場などに出向いて直接支援を行います。新たに就職する際の支援だけでなく、雇用後の配置変更や新たな職務追加などの変化に対しても、必要に応じて職場適応支援を行います。
ジョブコーチによる支援の対象は、働く障害のある方に加え、雇用主や職場の従業員に対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案します。また、働き続けるためには、毎日休まず出勤できる体力づくりやこころとからだの健康管理など、働くことの基盤である生活の安定と充実がとても大切です。ジョブコーチは、家庭やグループホームなどの生活支援機関に対して、ご本人の同意のもと、必要に応じて職場の状況報告や、職場定着に必要な生活面のサポートに関する助言なども行います。支援期間は、標準的には2~4ヶ月ですが、1ヶ月~8ヶ月の範囲で個別に必要な期間を設定します。支援は永続的に実施するものではありません。ジョブコーチによる支援を通じて、適切な支援方法を職場の上司や同僚に伝え、企業や職場内で本人に対する支援体制を整え、職場定着をはかることが目的です。ジョブコーチ支援の活用は、雇用企業と本人の双方が利用を希望していること、双方が職場への定着、雇用の継続を共通の目標としていること、ジョブコーチによる支援の必要性が十分に認められることが原則です。
詳しくは、お近くのハローワーク、または地域障害者職業センターまでお問い合わせください。
- 全国のハローワーク(厚生労働省)
- 全国の地域障害者職業センター(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
障害者就業・生活支援センター
地域にお住まいの障害のある方で、一般企業で働く、または働きたいと考えている方であって、支援を必要とする方に向けて、就業に関する相談や就業にともなう日常生活での困りごとなどに対して、窓口での相談、家庭や企業への訪問、関係機関との連絡調整などを通じて支援を提供します。
就業面では、職場定着に向けた支援や、事業主に対する障害のある方それぞれの障害特性を踏まえた雇用管理についての助言、ハローワークなどの関係機関との連絡調整などを行います。また、生活面では、就業継続に必要な生活習慣(たとえば、身だしなみや衛生管理の仕方など)の形成、健康管理、金銭管理などの日常生活に関すること、住まいや年金、余暇活動などの地域生活、生活設計に関する助言や関係機関との連絡・調整を行います。
利用に際しては、状況の把握のための聞き取りや利用登録の手続きが必要となります。また、来訪による相談などについては、事前の予約が必要となる場合があります。詳しくは、お住まいの地域を担当する障害者就業・生活支援センターまでお問い合わせください。
- 全国の障害者就業・生活支援センター(厚生労働省)
就労定着支援事業所
平成30年の障害者総合支援法の改正にともない新設されたサービスです。就労移行支援などの障害福祉サービスの利用を経て、一般企業に就職した障害のある方が利用できます。利用できる期間は、就職後6ヶ月経過時から最長3年間です。
就労定着支援は、これまでも障害者就業・生活支援センターなどが中心になって行っていました。しかし、働く障害のある方が増え、働くことに関する課題解決への支援ニーズも高まってきたため、独立した福祉サービスとして実施されることが決まりました。支援内容は、職場の同僚や上司とのコミュニケーションの取り方など、働く上での困りごとへの相談や、健康管理や金銭管理、余暇の過ごし方などの働き続けるために必要な日常生活上の困りごとへの助言など、面談による状況の聞き取りや、企業や家庭への訪問による支援、必要に応じて関係機関などとの連絡調整やケース会議の開催などです。
すべての就労移行支援事業所などの就労系事業所が、就労定着支援事業を行っているとは限りません。また、利用に際しては障害福祉サービスの手続きが必要です。詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口までお問い合わせください。