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母子保健

母子保健分野の実際

日本の母子保健は、大正時代から約100年もの間、乳児死亡を減少させることを目標に続いてきた国の事業です。大正期に一番高く(出生1,000人対190)、現在は1.7程度で、世界一子どもが亡くならない国になりました。今は、母子保健法という法律に基づいて、生まれてくるすべての子どもはもちろんのこと、女性の健康に関しても、思春期から妊娠、出産、子育て、更年期まで、身近な市区町村で母子保健サービスが提供されています。

保健事業の重要な視点は、個人の健康状態の把握、病気や障害の発見だけでなく、その個人データが地域の健康度の把握にも使われていることです。たかが乳幼児健診と思う人もいるかもしれませんが、めぐりめぐって地域のすべての母子の健康度の向上に役立っているのです。これをポピュレーションアプローチと呼びます。

母子保健サービスは、母子健康手帳の交付から始まります。妊産婦のフォロー、低出生体重児、先天性疾患児のフォローなどです。ハイリスク者は、病院と地域の保健機関が連携し、保健師、助産師などによる訪問指導がスタートします。乳幼児健診は、3~4ヶ月、1歳6ヶ月、3歳で行われるのが標準です。各健診で確認される項目については、標準的な問診項目は国のマニュアルで推奨され、標準化がはかられています。健診で健康度の確認がなされ、個別に保健指導区分が決まります。発達、栄養、歯科関係では、子どもの年齢に応じてフォロー健診が行われます。要支援家庭、児童虐待対応、外国にルーツをもつ家庭支援など、さまざまな保健サービスがあります。乳幼児医療費助成事業(マル乳)、義務教育就学児医療費助成事業(マル子)、ひとり親家庭等医療費助成事業(マル親)、病気や障害がみつかれば、医療助成費制度もあります。

皆さんがお住まいの市区町村では、どのような母子保健サービスがあるのか確認されることをおすすめします。公益財団法人母子衛生研究会が提供する赤ちゃん&子育てインフォは、手軽な情報源として役立つと思います。