就労支援の基本用語・概念
職業準備性(レディネス)とは
職業能力の階層構造の概念
職業準備性とは、職業生活を始めようと考えている個人の側に、職業生活を始めるために必要な条件が用意されている状態をさします。個人の職業能力の全体像は、下図に示す通り、最上層から「職務の遂行」、「職業生活の遂行」、「日常生活の遂行」、「疾病・障害の管理」の4つの階層構造としてとらえることができます。
そのうえで、疾病・障害の管理や日常生活の遂行に関わる条件は「社会生活の準備性」、また、それらに職業生活の遂行に関わる条件を取り込んだものを「職業生活の準備性」とされます。これらは、成熟の程度や過去の経験及び指導方法などの要因が相互に作用しながら、発達的な過程の全体を通して形成されます。
日本職業リハビリテーション学会 監修「職業リハビリテーション用語集」より引用
職業能力の階層構造の内容と支援
- 「職務の遂行」
- 特定の仕事に就いてその技能を向上させる適性、学力、技能、性格、興味、価値、訓練可能性など
- 「職業生活の遂行」
- 職業の理解、基本的ルールの理解、作業遂行の基本的能力や態度、対人関係の態度、求職と面接技能など
- 「日常生活の遂行」
- 学習の基礎的技能(身体的発達、数的処理、理解、コミュニケーションなど)、適応の基礎的技能(自己の理解、情緒的な対人関係、社会的な対人関係など)、地域社会への適応行動(日常生活の技能、家事の能力、健康の管理、消費者技能、地域社会の理解など)
- 「疾病・障害の管理」
- 清潔や健康の自己管理、服薬の遵守など
職務の遂行に必要な技能や知識習得のための技能訓練やOJT/offJTの実施など、就職後も継続的な支援が必要です。また、特に日常生活や職業生活の準備性等の条件で課題が多いと、就職の困難さが増すとともに、就職後も継続的な支援が必要となることが多くみられます。就職前に職業準備性を向上させるために、職業準備支援や職業教育などの各種プログラムが実施されています。また、福祉や医療・保健等の専門領域による生活面に関する支援も実施されています。
職業準備性の要件は幅広いことから、その向上への取り組みは、就業支援の領域だけでなく、医療・保健・福祉・教育等の各専門領域での生活訓練や家庭等での疾病(障害)管理など、状況に合わせて総合的に行われることが重要です。
職業準備性を理解する上での注意点
職業準備性を理解するには注意が必要です。それは、職業生活を始めるための必要条件は、企業側の障害者雇用についての考え方や支援機関の支援の状況などで、大きく変化します。つまり、個人的要件を絶対的な基準として画一的に就職の可能性を判断し、就職のハードルを設けるような考え方(レディネスモデル)に固執しないことが大切です。また、就職とその後の職業生活を維持するには、職業準備性の要件は継続的な支援が必要なこともあります。
職業準備性は、生涯の支援や受け入れ環境との相互関係の中で見ていく必要があり、職業生活の継続のために、本人が努力すべきこと、企業が配慮すべきこと、支援者が支援すべきことを整理するための視点としてとらえることが大切です。