コミュニケーション

地域での暮らしを円滑に営む上では、他者とのコミュニケーションがとても重要なスキルになります。ところが、発達障害のある方の中には、ことばによるコミュニケーションにさまざまな困難を抱えている人が多くいます。とくに自閉スペクトラム症の人は、その特性として「ちょっと」とか「適当に」といったあいまいな表現が理解できないとか、「ポスト見てきて」といった指示を字義どおりにとらえて、単純にポストを見て戻ってきてしまう、といったエピソードは枚挙にいとまがありません。また、ことばの発信では、自分の興味・関心のあることだけを一方的に話し続けたり、ことばで自分の気持ちを伝えることができなかったりといったことがあります。ほかにも表情やジェスチャーから相手の気持ちを推測することが難しく「空気が読めない」などと揶揄されることもしばしばあります。

コミュニケーションの課題に関しても基本的には個別対応になります。まずは本人が理解しやすい手段で伝えることが重要です。その上でなるべく抽象的な表現を避け、具体的に伝えたり、余計なことは言わず簡潔明瞭に伝えたりといった配慮が必要になります。場合によっては、文字や写真、図画など視覚的に確認できる手段を使って理解を促すことが有効です。

また、周囲の人たちへ発達障害のあるご本人についての理解を促すために、本人の特性を記したサポートファイルなどを活用したり、就業されている方でしたら本人の特性に合わせたマニュアルを作成したりするといったことも有効ではないでしょうか。本人がどのように伝えられればわかるか、また、どのような工夫をすれば本人から他者へ円滑に伝えられるかという観点で、以下のとおり留意すべき点をまとめてみました。

  • コミュニケーションしやすい環境として、本人が落ち着いて対応できる、静かな空間などを用意しましょう
  • 本人が理解できる方法として、音声言語のみでなく、文字やシンボルマーク、絵、写真といった視覚的な伝達ツールも活用しましょう
  • 抽象的な表現や曖昧な表現を避け、具体的に伝えるよう心がけましょう
  • 伝えたいことの周辺や前段に関する余分な内容は省き、伝えたいことそのものを簡潔に伝えましょう
  • 複数のことを同時に伝えると分からなくなってしまいがちなので、フローチャートにしたり、ひとつづつ伝えるよう配慮しましょう
  • 基本的に予定や見通しが分かることで落ち着いた暮らしにつながるので、予定表などを用いて伝えるよう心がけましょう
  • 予定変更がある場合はできるだけ事前にていねいに伝えましょう
  • 本人がミスをした場合は注意するのではなく、正しい方法を伝えるようにしましょう
  • 支援者側のペースではなく、本人の理解しやすいペースでやり取りをするようにしましょう
  • 本人から他者へのコミュニケーションは、必要に応じてコミュニケーション機器やコミュニケーションカードなど本人が伝えやすい手段を用意しましょう

コミュニケーションの課題に対応するときの参考にしてください。