就職に向けた準備を始める
発達障害の診断について
学生の時には、そこまで大きな困り感を感じることはなかったけれども、”就職のための面接試験や職業実習の場面で周囲とのコミュニケーションがうまく取れずに困った”、”スケジュールや情報整理ができずに失敗が重なってしまった”など、就職をきっかけに「もしかして発達障害かも?」と不安に感じて病院を受診する方は少なくありません。また、発達障害と診断されることのデメリットばかりが目に入り、病院を受診するかどうかで悩まれている方もたくさんいらっしゃいます。
ここで大切なのは、日常生活や仕事上でご自分が抱える困り感を解決することが目的で、発達障害かどうかをはっきりさせるのが目的ではないということです。発達障害の特徴は、本人の成長や環境の変化などにより、困り感や課題のあらわれ方が異なるためわかりにくいことです。1回の診察で診断結果が出せるものではありません。まずは、生活や仕事でどのようなときに困り感があるのか、失敗の原因も含めて、ご自身のことを客観的に整理してみることをおすすめします。
たとえば、親や家族から聞いた子どものころの話、母子手帳の保健師などからのコメントや小・中学校の通知表に書かれた担任からのコメントなど、信頼できる第三者からみた自分の印象やエピソードは、自分自身を知ることと、現状の困り感の原因を分析するにあたってとても有効です。この段階で改善方法をみつけられる場合もあります。
その上で、いま抱える困り感の原因が発達障害かもしれないと思ったら、医療機関を受診してみましょう。医療機関では、主に問診と心理検査を行います。問診では、現在の状況はもちろん、これまでの育ちの過程での困り感など、エピソードの聞き取りがあります。心理検査の結果や医師などからの助言により、自分自身の得手不得手や特性を知ることができたり、日常生活や仕事上での困りごとへの対応策がみつかるかもしれません。
詳しくは、関連記事「診断や医療機関への受診について」をご参照ください。
発達障害であった場合に受けることができるサポート
【医療的なサポート】
自立支援医療(精神通院医療)の対象と認定されることで、指定自立支援医療機関への通院にともなう医療費自己負担の軽減措置を受けることができます。詳しくは、以下のホームページをご参照ください。
- 自立支援医療(精神通院医療)の概要(厚生労働省)
- 自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み(厚生労働省)
指定自立支援医療機関については、お住まいの都道府県または政令指定都市のホームページなどでご確認ください。また、申請手続きなどについては、お住まいの市区町村の窓口までお問い合わせください。
【福祉的なサポート】
就労移行支援などの障害者総合支援法で規定される公的な福祉サービスは、障害者手帳(療育手帳や精神保健福祉手帳など)を所持していなくても、精神障害や発達障害などに関する医師の診断書などにより、市区町村により福祉サービスの支給対象と認定された場合には、利用することができます。詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口までお問い合わせください。
【就労に関するサポート】
障害者手帳を取得し、障害者雇用で働くことも選択できますが、最近では一般雇用の枠で発達障害であることを開示して働いている方も徐々に増えてきています。医師より発達障害の診断がされている方で、自らの障害を職場の方へ開示するメリットとしては、職場からの配慮を受けられるだけでなく、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援など、必要に応じて公的な支援も受けることができます。
詳しくは、関連記事「支援機関や訓練機関を探す」「就職後の支援機関」をご参照ください。